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ゲームメーカーの失敗例 ハード選択編

ゲームメーカーの失敗例、今回はハード選択のミスによるものです。

 

カプコン:バイオハザード4

バイオハザードは、カプコンの代表作であるサバイバルホラーゲーム。
1〜3作目までは、全てミリオンヒットを記録していた程の大人気タイトルです。
ハードは基本的にプレイステーションを主体としていました。
(他機種でも移植作品は多数発売されていましたが)
4作目は、当然のようにプレイステーション2で開発していることが発表されました。

ところが、任天堂のゲームキューブが発売される前日、
バイオハザードの生みの親である三上真司氏は、
"今後のバイオハザードシリーズ新作は全てゲームキューブに独占供給する"と発表したのです。
これは事実上、プレイステーション2版バイオハザード4の開発中止でした。

当時はプレイステーション2が勢いよく普及を見せている時期であり、
そのプレイステーション2版を中止して、
まだ発売もされていないゲームキューブに独占供給するという決断は、中々不可思議な戦略です。
三上氏は、任天堂のストイックなゲーム製作に感銘を受けて決断したと語っています。
また、"プレイステーション2が売れているのはDVDプレイヤー需要でしかない"と判断したことも、
ゲームキューブへ舵を切った理由とされています。

三上氏は「他機種でバイオハザードの新作が発売されたら腹を切ります」と宣言する程、
ゲームキューブ独占を力強くアピールしていました。
しかし、ゲームキューブの販売不振や、カプコンの経営状況の悪化から、
ゲームキューブ版バイオハザード4の発売前に、プレイステーション2版も発売されることが発表されました。

一応は、より多くのユーザーに遊んでもらいたいという名目でしたが、これは紛れもなく公約違反です。
ですが、実際に三上氏が腹を切ることはありませんでした。(まあ当然ですけど)

そういった紆余曲折もあって発売されたバイオハザード4は、
ゲームキューブ版が約22万本、プレイステーション2版が約45万本と、
常に100万本以上を売上げていた前3作よりも、大きく売上げを落とす結果となりました。
この売上げ低下の一因は、ハード選択によるゴタゴタが影響していることは間違いないでしょう。
ゲームキューブ独占を貫いていれば…、
あるいは、最初から素直にプレイステーション2優先で発売していれば…、
結果は今と変わっていたのかもしれません。

 

テイルズオブシリーズ

近年は、1つのシリーズを複数のハードに提供しているサードパーティーが珍しくありませんが、
正直、これは絶対にやってはいけない戦略の一つです。
その典型的な悪例が、テイルズオブシリーズです。

テイルズオブシリーズ
発売日 タイトル 機種
2008年1月31日 テイルズ オブ デスティニー ディレクターズカット PS2
2008年3月19日 テイルズ オブ リバース PSP
2008年6月26日 テイルズ オブ シンフォニア -ラタトスクの騎士- Wii
2008年8月7日 テイルズ オブ ヴェスペリア Xbox360
2008年12月18日 テイルズ オブ ハーツ DS
2009年1月29日 テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 PSP
2009年8月6日 テイルズ オブ バーサス PSP
2009年9月17日 テイルズ オブ ヴェスペリア PS3
2009年12月10日 テイルズ オブ グレイセス Wii
2010年8月5日 テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX PSP
2010年12月2日 テイルズ オブ グレイセス エフ PS3
2011年2月10日 テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー3 PSP
2011年6月30日 テイルズ オブ ジ アビス 3DS
2011年9月8日 テイルズ オブ エクシリア PS3
2012年1月26日 テイルズ オブ イノセンス R Vita
2012年2月23日 テイルズ オブ ザ ヒーローズ ツインブレイヴ PSP
2012年11月1日 テイルズ オブ エクシリア2 PS3

ハードがバラバラで、全く定まっていません。
というか、短期間でシリーズを乱発しすぎです。
ゲームマニアならば、これらのハードを全て所持していてもおかしくないでしょうが、
ライトユーザーが所持しているハードは、せいぜい一つか二つでしょう。
これだけ様々なハードで発売されては、
自分の所持しているハードでは遊べないという問題が頻出するでしょう。
どうしても遊びたくて新たにハードを買ったとしても、その後他機種に移植されてしまう場合もあるのです。
(例:テイルズオブヴェスペリア Xbox360→PS3)
こんなことをされては、ユーザーとしてはたまったものじゃありません。
こういった意味不明な戦略が、ユーザーから敬遠される要因になっているのと思われます。

事実、テイルズオブシリーズの開発を担当していたテイルズスタジオは、2010年3月期に債務超過に陥りました。
その理由は、やはりこれだけバラバラなハードを選択して、
ユーザーを分散=売上げの減少を招いたことにあるのではないでしょうか。

 

マルチ or 一ハード集中

ソフトを賢く売るためには、二つの戦略があると思います。
その一つは、複数のハードで同じソフトを発売するマルチタイトル戦略です。
ソフトがあらゆる機種で発売されるならば、ユーザーはどれか一つのハードを所持していれば良いわけです。
メーカーにしても、より多くの市場で商売できるというメリットもあります。
ただし、ハードごとに性能や特性に違いがあるため、
全てのハードで同じ内容のソフトを発売するというのはなかなか難しいのですが…。

もう一つの戦略は、ソフトを一つ(据え置き機と携帯機の2種なら可)のハードに集中して発売することです。
例えば、ドラゴンクエストシリーズは、その世代のトップハード一つにしかソフトを提供していません。
(まあ、かつてはMSXに移植していたこともありますが)
近年では、DS・Wii・そしてDSの後継機3DSでしかソフトを発売しておらず、
それ以外のハードでは、外伝作品や移植・リメイクなども含めても、一切発売されていないのです。

このハードさえ所持していれば、新作ドラゴンクエストが全て遊べるという安心感が、
高い売上げを記録している理由の一つなのでしょう。
ハードメーカーである任天堂が高い売上げを維持しているのも、同様の理由があると思います。

最近のゲームメーカーは、ソフト売上げが振るわなかった場合、
すぐに他機種へ移植して、損失を少なくしようとしがちです。
しかし、それは長い目で見た場合、ユーザーのハード分散に繋がるだけで、
結局は、メーカーにとってのマイナス行為でしかありません。
ゲームメーカー各社は、今一度、自社の戦略を見直すべきではないでしょうか。

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