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岩田聡が任天堂社長に就任

岩田聡氏は、2002年6月1日に任天堂の社長に就任しました。
任天堂は1889年に山内房治郎氏が創業して以来、ずっと山内家の同族経営体制でした。
前社長、山内溥氏もその3代目であり、
後を継ぐのは娘婿の"荒川實"氏か、息子の"山内克仁"氏だと思われていました。
全く血縁関係のない入社2年目の人物が社長に指名されるというのは、正に異例の人事です。

しかも当時の任天堂は、据え置き型ハードのゲームキューブが振るわず、
ソニーのプレイステーション2相手になす術もない状況だったのです。
圧倒的勝者だったファミコン時代の面影は全く感じられません。
岩田氏は、かつてない苦境に陥っていた任天堂のゲーム事業再建を任されたのでした。

岩田氏は、元々HAL研究所というゲーム会社に勤めていました。
ファミコンのヒットと共に急成長を見せていたHAL研究所でしたが、
1992年には倒産の危機に立たされていました。
開発拠点の新設のための費用が嵩んだことや、(バブル崩壊が追い討ちをかけました)
ゲームソフトの販売不振などが重なり、資金繰りが急激に悪化していたのです。
業績回復の目処は立たず、多額の負債を抱えたHAL研究所は和議(現在の民事再生法)を申請します。
これは事実上の倒産です。

そこへ、任天堂の山内社長が資金援助を表明してくれました。
条件はたった一つ"岩田聡をHAL研究所の社長にすること"。
岩田氏はプログラマーとして超一流であり、
山内社長は、予てから岩田氏の能力を高く評価していたのです。
しかし岩田氏は、今までずっとゲーム開発しかしてきたことがなく、経営に関してはド素人でした。
そんな岩田氏に社長を任せるというのは、山内社長も随分と思い切った判断をしたものだと思います。

そんな山内社長の期待に応えるように、
岩田氏は類まれなる経営手腕を発揮し、HAL研究所の再建に成功します。
岩田氏の経営者としての能力が優れているのはもちろんですが、
その才能を見抜いていた山内氏の眼力には感服します。
その成果が認められ、岩田氏は任天堂の取締役経営企画室長として招かれました。
岩田氏が任天堂社長に任命されたのは、そのわずか2年後のことでした。

 

ゲーム人口の拡大を目指す

当時のゲーム業界は、正にプレイステーション2フィーバーでした。
しかし、プレイステーション2は、ハード販売台数こそプレイステーションを上回っていましたが、
ソフト販売本数については下回っていました。
プレイステーション2には、当時はまだ高価格だったDVD再生機能が付いていたため、
DVDプレイヤーとしての需要が大きかったのです。
派手なハード売上げとは裏腹に、ゲーム人口は年々減少していました。
ゲームがどんどん高度で複雑なものになった結果、ついていけなくなったユーザーが大勢いたのです。
しかもゲーム機の性能の上昇に伴い、ソフト開発のコストは膨れ上がる一方です。
コストは上がるのに、売上げは減少しているという最悪の状況に岩田社長は危機感を覚えていました。

そこで岩田社長は、ゲームに関心が薄い女性や大人、更にはお年寄り層までも開拓し、
ゲーム人口を拡大することを目標としたのです。
"重要なのは次世代の技術ではなく、次世代のゲーム体験である"
そして生まれたのが、2画面・タッチパネルを採用した携帯ゲーム機"ニンテンドーDS"なのです。
(2画面の案を出したのは前社長の山内氏)
岩田社長の目論見通り、ニンテンドーDSは今までゲームをプレイしていなかった層を取り入れて、
世界累計で約1億5000万台という驚異的な売上げを記録しました。

 

脳トレがDSの成功を決定付けた

DSの普及に大きく貢献したのは、
"東北大学 未来科学技術共同研究センター 川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング"
通称脳トレです。
この脳トレは、岩田社長がDS普及の起爆剤として強く推していたものです。

2004年12月2日、ニンテンドーDSは発売されました。
その日、任天堂の岩田社長は発売記念イベントのためにゲーム販売店に………は行かずに、
東北大学へと足を運んでいました。
脳トレの試作品を川島教授に体験してもらうためです。
二人は多忙のため、こんなスケジュールになってしまったのです。
岩田社長の脳トレへの思いはそれ程強かったのです。
幸いにも、川島教授は脳トレの出来に非常に満足し、必ず成功すると太鼓判を押してくれました。
2人の会談は当初30分の予定でしたが、実際には3時間も話し込んでしまったそうです。

脳トレは、今までゲームとは無縁だったお年寄り層にも普及し、
日本で累計380万本、続編のもっと脳トレは500万本以上の大ヒットとなりました。
世界累計では、脳トレ・もっと脳トレを合わせて3500万本近くが販売されています。
岩田社長の想いは実現したのです。

ポリゴン岩田

 

直感的な操作で楽しめるWii

そして、ゲーム人口拡大路線は、据え置きゲーム機Wiiにも受け継がれました。
ゲームコントローラーは、複雑な操作に対応するためにどんどんボタンが増え、
そのことが、あまりゲームをしない人たちから敬遠される一因になっていたと岩田社長は考えました。
Wiiは直感的な操作ができる"Wiiリモコン"を搭載し、ゲーム初心者でも楽しめる市場を形成しました。
Wiiは現在までに、日本で1200万台、世界全体で約9000万台を売上げており、
任天堂は、スーパーファミコン以来の据え置き機トップハードの座を掴んだのです。
この9000万台という数字は、任天堂据え置き機としてはファミコン(約6300万台)を越えた、最大の売上げなのです。
(ファミコンの数字がそれ程大きくないのは、当時は欧州にゲーム文化がなく、世界のゲーム市場がずっと小さかったため)

ゲーム人口拡大を提唱した岩田社長の素晴らしい経営手腕で、任天堂は復権を果たしたのです。

 

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