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スクウェアエニックスの合併について

ドラゴンクエストといえば、知らない人はほとんどいないであろうエニックスの超有名RPGです。
ドラゴンクエストと並ぶRPGとして名が挙がるのは、スクウェアのファイナルファンタジーでしょう。
この日本の2大RPGメーカーは、2003年に合併してスクウェアエニックスとなっています。
両社が合併に至った経緯は、どのようなものだったのでしょうか?

 

 

エニックスの事情=安定した売上げを確保するため

エニックスの経営上の問題は、安定した利益が得られていないことでした。
ドラゴンクエストは、300万本以上の売上げが期待できる超ビッグタイトルです。
しかし、開発に3〜4年もの時間がかかってしまうという弱点も抱えていました。
エニックスはドラゴンクエスト以外にビッグタイトルを持っていませんので、
ドラゴンクエスト発売年と、それ以外の年では、売上げが大きく違っていたのです。
そこで、毎年安定した売上げを確保するために、スクウェアとの合併話が持ち上がったのです。

また、2001年の出版部門においてのいざこざ(エニックスお家騒動)も影響したと言われています。
エニックスには出版部門があり、少年ガンガンをはじめとしたコミック誌をいくつも発行していました。
しかし、ガンガン編集部と編集者の間に方向性の違いが生じ、多数の編集者がエニックスを退社。
退社した編集者が新会社マッグガーデンを立ち上げ、新雑誌"コミックブレイド"を創刊します。
その際、大勢のガンガン連載作家もマッグガーデンに移籍する事態となり、ガンガン編集部は大混乱。
エニックス出版部門は大きく弱体化したのです。

 

スクウェアの事情=映画などの赤字の挽回

スクウェアは、ファイナルファンタジー以外にも有力タイトルがいくつかあります。
(まあファイナルファンタジーが突出しているのは間違いないですが)
ですから、エニックスと違い、比較的安定した経営ができていたと言えるでしょう。

スクウェアの経営が悪化した最大の原因は、映画ファイナルファンタジーの興行的大失敗です。
本作は、リアルなモデル(非アニメ)としては世界初のフルCG映画であり、
その制作費は何と1億3700万ドル(約157億円)!
これだけ莫大な制作費をつぎ込んだにも関わらず、興行収入はわずか3200万ドル(約37億円)でした。
最終的な赤字額は5190万ドル(約59億円)にも上り、この記録的大赤字はギネスブックにも掲載されました。
スクウェアは130億円もの特別損失を計上し、経営が大きく傾く事態となったのです。
この最悪の状況は、SCEがスクウェアに資本参加することで乗り切りました。
合併時には財務状態は改善されていたので、これが合併の直接的な理由とは言えないかもしれません。

デジキューブの倒産も経営を圧迫しました。
デジキューブはスクウェアが1996年に設立した会社で、
コンビニエンスストアでのゲーム販売(書籍やCDも含む)を目的としていました。
しかし、デジキューブ事業は思うように行きませんでした。
ソフトが定価販売だったために割高な印象を与えてしまったことや、
ネット通販の普及によってコンビニでのゲーム販売需要が低下したことなど、
様々な問題によって経営継続が困難に陥りました。
2003年には自己破産を申告し、デジキューブは倒産しました。
倒産時には既にエニックスと合併済みでしたが、
デジキューブの失敗が、合併に至った大きな要因であることは間違いないでしょう。

 

合併したのに合併していない?

こういった問題を解決するために、エニックスとスクウェアは合併することになったのです。
また、「将来を見越しての勝ち残りのための攻めの合併」というのが和田社長の弁です。
しかし正直なところ、両社の合併に意味があったのかは疑問です。

合併した理由の一つに、
"ドラゴンクエストとファイナルファンタジーの二大タイトルを食い合わない時期に発売できる" というのがありました。
しかし2009年には、ドラゴンクエスト9とファイナルファンタジー13を、 わずか半年足らずに相次いで発売したのです。
これは、売上げ的にも決算的にもよろしくないタイミングに思えます。
せっかく合併したのに、これでは意味がないのでは?

そもそも、合併したことで両社のゲーム開発体制が大きく変わったという印象はありません。
ドラゴンクエストはエニックスの作品ですが、 実はエニックスは開発部署が存在しないパブリッシャー専門の会社であり、
企画・宣伝・販売を担当するだけの存在でした。
従来のドラゴンクエストシリーズの開発は、 チュンソフトやハートビートといったデベロッパーに外注をしていたのです。

それがスクウェアエニックスとなったのですから、
当然ドラゴンクエストの開発も自社(スクウェア側)で行うようになると思っていたのですが、
合併後も以前と変わらぬまま、外注制作体制が続いているのです。
結局、両社は合併しても決算上同一になっているだけで、ずっと相容れぬ存在であるとも言えます。

相容れぬスクエニ

最初に合併が報道された時には、てっきり"ドラゴンファンタジー"が作られるのかと邪推していたのですが、
9年経った今でも、そんな様子は微塵もありませんね。
(いただきストリートで、ドラゴンクエストとファイナルファンタジーが共演したことはありました)

しかし、最新作のドラゴンクエスト10は初の自社開発となりました。
ドラゴンクエスト10はオンラインゲームであり、何年にも渡ってアップデート等を行う必要があるため、
外注にすることが困難だったというのが大きな要因でしょう。
理由はどうあれ、両社がほんの一歩でも歩み寄ったというのは、大変喜ばしいことだと思います。

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